熱海殺人事件 平壌から来た女刑事
熱海殺人事件はこれまでも時代と役者に合わせて少しずつその内容が変わってきました。
今回も凄い内容になってました。登場人物の設定がまた凄い。
東京警視庁に赴任してきた熊田留吉刑事はなんと神戸で少年の首を切り、校門の上に置いた少年Aだった。そして、彼の上司になる木村伝兵衛部長刑事はその首を切られた少年の兄であった・・・
部長刑事の右腕であり恋人でもある水野朋子婦人警官は李氏朝鮮の出であり、時代が違えばお姫様であった彼女は熊田の父親が息子伝兵衛のために北朝鮮から拉致してきたのだという。
容疑者大山は名前が金太郎から寅次郎と変わり、聖徳太子の墓であるキトラ古墳に隠された秘宝の謎を1500年に渡って探ってきた一族の末裔、そして殺されたアイ子は大山の幼なじみではなく、あのヒ素カレーで無差別殺人を犯した林真須美の娘で、大山の妻であった。
代々日本に住み着きスパイ活動する北朝鮮の工作員、猫座の首領ウマヤド、そして金正日暗殺を企むスナイパー平壌の朝霧とは誰か。
木村伝兵衛部長刑事役の石原良純は熱海殺人事件サイコパス以来の伝兵衛役だ。サイコパスの時は意気込みが少々空回りしている感じがしていたが、今回の彼はもう立派なつか役者となっていた。きっちりと石原版伝兵衛を演じてみせてくれた。セリフも石原が一番はっきりと聞き取れたし。
ただ、残念なことに今回の舞台は伝兵衛が主役というよりも、どちらかというと水野を中心にまわっていたように感じた。
その水野役はつかの舞台は初となる黒谷友香はチャイナドレスで登場した序盤はちょっとがっかりしたくらいにたどたどしかった。千秋楽なのにこんななの?と観ていたら衣装を変え、役者が揃った中盤以降はどんどんよくなり、終盤にはもうすっかり安心してみていられるようになっていた。序盤からその感じで演技が出来ていればもっと素晴らしい舞台になったはずだ。そこだけ残念。
熊田役の春田純一と大山役の小川岳男はつかの舞台ではすっかりお馴染みの役者なので安心して観ていられる。そしてウマヤド役の武田義晴はかなり難しそうな長台詞があったけど完璧にこなしていたのには感心した。
いやもう、今回はいろんな事件と思いが複雑に絡みつつも思いの丈はストレートに迫ってきていてなかなか深くて面白い舞台ではあったのだけど、もはや熱海で起きた殺人事件は添え物程度でしかなくなってしまっているのは少し寂しい気もする。
どうやらこの紀伊国屋ホールでの公演中にラストが変わっているらしいが、千秋楽は伝兵衛と水野の恋はハッピーエンドで終わった。この終わり方はぼくは良かったと思う。それまでの展開がかなり重たいものでもあったし、やはり最後はハッピーエンドであってくれなきゃ。
終演後、千秋楽のカーテンコール名物、じゃんけん大会となったけど、豪華タラバガニと石原慎太郎から差し入れられたボルドーワインがなんと10名にあたるという豪華なものだった。残念ながら一回戦でまけましたけど。それでも最後に劇場の出口で黒谷がCM出演しているハウス食品からカレーと五穀米の詰め合わせセットのプレゼントが全員にあった。素晴らしい。
これが熱海殺人事件の最終バージョンと銘打ってはいるが、これからも時代は変化し続けていくわけで、また新しいバージョンの熱海が演じられる日が訪れるのも必然だと思っているのだけど、どうか。
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